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途をひらく、萌芽の日々

途をひらく、萌芽の日々

UPDATE 2026.03.30

はじめまして。
2月からKURKKU FIELDSに入社した磯部です。

突然ですが、みなさんはKURKKU FIELDSで好きな場所はありますか?

農業、食、アート、宿泊、サステナブル……
この場所を形づくるキーワードを並べると盛りだくさんです。

入社して2か月の私は、好きな場所を聞かれると「うーん……」と考えこんでしまいます。

考えるきっかけになったのが、先日行われた全社集会。

KURKKU FIELDSでは半年に一度全社集会を行い、KURKKU FIELDSの未来について話し合ったり、社員みんなの親睦を深めたりする機会があります。

ここで働く約80人が一堂に会した、アイスブレイクの時間のこと。

「自分との共通点がある人同士で集まる」というゲームで、「KURKKU FIELDSの中で好きな場所」というお題が出ました。

そのときはじめて「好きな場所、まだ見つけられていないかも」と気がつき、素直に「探し中です」というグループで集まりました。(私含めて3人の探し中の仲間がいました)

ちなみに、ほかのスタッフの好きな場所は「地中図書館」、「Lanka」、「cocoon」、「谷津田」など。「全部」という方も!

それから、「私の好きな場所ってどこなんだろう。見つけてみたい」と思い立ち、ふらりと場内を歩いてみることにしました。

空気を吸いこむと、冬のにおいから春のにおいに変化していることに気がつきます。
DINING裏に大きなミモザの木が。鈴なりの花が春風にサワサワと揺れていました。

意外と背の高いミモザ
散り始めですがまだまだふわふわです

私は無類の黄色いもの好きで、インテリアや雑貨はついつい黄色を選びがちです。
見回すと、ほかにも黄色くて良い香りのお花を見つけました。

ロウソクのロウのような質感
豊年満作が由来とも

KURKKU FIELDSには少量多品種の植物が植わっており、少しの距離を歩くだけでも数多くの植物と出会えます。

元々お花が好きで名前も知っているつもりでしたが、ここに来てからは「この植物はなに……!?」とときめく出会いも多いです。

ロウバイとマンサクもそのうちのひとつ。

好きな場所でマザーポンドを選んだスタッフも10人近くいました。意外でした

マザーポンドへ下っていくと、入社後の研修で循環チームと作ったヒューゲルカルチャーの畝が見えてきます。

ヒューゲルカルチャーはドイツ発祥の農法で、土の中に枝や枯れ葉を埋めて自然の森の土に近い環境を人工的に再現した畑のこと。枝や枯れ葉が微生物により少しずつ分解されることで、肥料を撒かずとも栄養豊富な土壌になっていきます。

これから暖かくなるにつれて、ここでどんな野菜やお花が育つのか楽しみです。

敷地内で伐採された丸太で枠を作っています
マザーポンド脇にいつの間にか設置されていたテーブルとベンチ。
施設管理チームが廃材で作ってくれたものでしょうか

マザーポンドからFLACC棟方面へ坂を登っていくと、一面に畑が広がっていました。

私の今まで暮らしてきた場所は建物に囲まれていたり、畑よりも田んぼのほうが身近だったりしたため、土が起こされた茶色い風景はとても新鮮に感じられます。

その場で深呼吸をすれば、草刈り後の植物の青々としたにおいがつんと鼻を突き、
耳を澄ませば、養鶏場から鶏の力強い鳴き声が聞こえてきました。

手前の緑は有機栽培のたまねぎ。研修ではマルチの間から伸びる雑草をひたすら抜きました

初めてKURKKU FIELDSを訪れたときは、自然を独り占めできたようで解放感に満ちる一方、率直に言ってしまうと、閑散としていて寂しい印象を受けました。

しかし、研修やスタッフとの会話を通して学び、実際に自分で見たり触れたりして、見える景色が明らかに変わりました。

自然の循環には理由があって、なぜこうなっているのか、なぜここにあるのか、実感としてわかる。

わかると、とても楽しいんです。

ぼやっとしていた輪郭が鮮明になり、それまでモノトーンだった景色が色づいていくような、今まで気にも留めなかった植物や鳥たちとの距離感が友達のように近くなり、立ち止まらずにはいられないような感覚。

KURKKU FIELDSの楽しみ方や訪れる目的は人それぞれ違いますが、かつての私のように「よくわからないところだったね」、「なんにも無かったね」と思ってほしくないなあと、ぼんやり思うのです。

それは、私の前職である学芸員時代に感じていたことと重なる部分があります。

「ただそこにある」味わいももちろん尊いものですが、キャプションやワークショップを通じて作品への理解を深めてもらい、改めて作品に立ち返っていただくと、お客さまの表情が納得感を帯びるんです。ご自身のこれまでの経験や思い出と重ね合わせ、自分事として受け入れてもらえる。物事を自分事として捉えられることは、とても豊かなことだと感じます。

わかるもの、わかりやすいもの、有名なものだけ受け取られ、自分の範囲外にあるものはスルーされてしまうのがちょっぴり悔しいのです。でも、今わからなくても、そのスルーが何年後かに「そういえば」と思い出されたり、何十年後かに「そういうことだったのか」と遅効性の薬のように効いてくるのだとしたら、とても嬉しいです。

自然と芸術。ジャンルは違えど、腑に落ちることで生まれる楽しさや喜びは共通していることに気付かされました。

ミツバチも大好きなローズマリーのお花。ローズマリーってお花が咲くんですね!可憐です

考えを巡らせながら歩いていると、オラファー・エリアソンの《Mirror my orgasmic journey in me》(2022)までたどり着きました。

デデン、と現れます

この作品には光と鏡が用いられ、自己と静かに向き合うための空間作品です。球体の内部には無数の円が広がり、仏の姿を思わせるイメージが立ち上がります。

人の思考や見た目は日々変化しますが、アート作品は変わらずこの場所に存在し続けてくれます。作品を通じて自分を見つめ、自己対話ができる貴重な場所です。

畑のそばの大樹の下に祠のように設えられ、夕方には西陽が差しこみ、やわらかな光が空間を包みこみます。鏡に映る自分の姿を通して、内面へと意識を向ける体験が生まれます。

円と自分だけの無限の空間

入社したばかりの頃は心も身体も緊張しており、大好きなアート作品たちを前に開かれた感情よりも閉じた感情がたくさん芽生えていました。

「場内にあるアート作品を早く全て覚えねば」、「お客さまからいつ聞かれてもいいように準備しておかねば」というような教科書的暗記作業で頭がいっぱいでした。

入社し2ヶ月が経った今は、作品を通して内省できる余裕が生まれつつあります。自分の内面と静かに対話し、また、作品を前にしても何も感じなくてよい余白も感じられるようになってきました。

作品を通して豊かな内面や精神性が耕される。生まれる気持ちを自分の中で発酵させ、アート作品はここに訪れる人たちのそれぞれの生活で精神的支柱の一助となっているのだと思います。

……そんなことを考えていると、あっという間に陽が傾いてきました。

この日は無理にでも自分の好きな場所を決めようとしていましたが、いろいろと考え歩いているうちに「まだ見つけたくないかも」と思い直しました。

というわけで、「ここ、おすすめだよ!」という場所がある方。そして、黄色い植物を見つけた方。ぜひ、まだまだクルックビギナーな私にこっそり教えてください。

磯部春香Isobe Haruka

島根県松江市出身。大学では文学部で歴史や民俗学を学び、人々の暮らしや文化の背景に関心を持つ。これまで地域おこし協力隊や学芸員として、地域文化の発信に携わってきた。コロナ禍で大学がオンライン授業となった時期、バイクで日本各地を巡る旅を経験。自然が持つあるがままの豊かさや、自然の前ではありのままでいていいという心地よさに魅力を感じるようになる。そうした感覚と、健やかで飾らない暮らしの魅力を伝えたいという思いから、自然と人の距離が近いKURKKU FIELDSに入社。

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