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旧暦の話

旧暦の話

#エッセイ #地中図書館

UPDATE 2023.03.31

 

こんにちは。地中図書館のご案内を担当している山名隆也です。

寒かった冬も終わり、だんだんと暖かくなってまいりました。3月は旧暦では弥生(やよい)と言って、草木が伸びて育つという意味の言葉が語源となっています。

KURKKU FIELDS の植物たちはというと⋯⋯ぐんぐん伸びてくるのはもう少し後かもしれません。

ということで今回お話しするのは旧暦について。旧暦というのは、現在、私たちが使っているグレゴリオ暦とは違い、月の満ち欠けから1ヶ月の長さを決めて作成した暦のことです。明治時代以前に使われていたものですが、「神無月(かんなづき)」や「師走(しわす)」など今でも旧暦に関係した言葉を耳にしますよね。

先月の話になりますが、2月は旧暦で「如月(きさらぎ)」と言います。重ね着をするという意味の衣更着が語源であるという説が有力だそうです。如月と聞くと私は西行法師の和歌を思い出すのですが、ご存知の方はおられますか?

願わくは 花の下にて 春死なむ その如月の 望月のころ

「花」とは桜のことなので「2月の満月のころに桜の下で死にたい」といった意味の歌です。ちなみに「如月の望月」には仏教的な意味合いがあるのですが今回は本筋から離れてしまうので省略します。

 

ところでみなさんはこの和歌に対して疑問に思うことはありませんでしたか?

きっと多くの方がこう思っているはずです。

「2月なのに桜?」

そうなんです。この歌は如月(2月)とあるけれど、その内容は現在の3月〜4月ごろのことを詠んだ歌なんです。

つまりどういうことかというと、旧暦というのは今の暦と比べると1、2ヶ月ほどずれているということですね。

日本だと「迎春」のように旧暦に合わせて使用していた言葉を新暦でも用いるので、ちょっと時期はずれに思ってしまうことがありますが、この暦のずれを理解すればなるほどと思うことも多いはず。

ではそのことを踏まえてもう一度「旧暦」の月名に注目してみましょう。

旧暦2月は「如月」で、それは重ね着を意味しています。でも実際には桜が満開になるころと同じくらいの時期。寒い日もありますが、春らしく暖かなころでもあります。そんな時期でも「重ね着の月」と呼ぶのですから、昔の人たちは結構寒がりだったのかもしれません。

そして旧暦3月は「弥生」。草木が生い茂るという意味です。現代の暦に合わせると大体4月から5月くらいでしょうか。そう考えると植物たちが生き生きとしだすのもちょうどそのころからだなと納得です。

このものがたりが公開されるのが3月31日ですから、場内の草木がぐんぐん伸び、森の木々が青々としてくるのはきっとこれからですね。

旧暦に関してあれこれとお話ししてきましたが、太陰太陽暦や古代の暦などは歴史研究に携わる人くらいしか用がない、と思われる方も多いでしょう。

それでも「節分」や「甲子園」、「土用の丑の日」などの現代で広く使われている言葉にも「二十四節気」や「六十干支」に由来するものが多々あります。少し興味が沸いた方はぜひ調べてみてください。

それでは今回のものがたりはこの辺りで。

弥生の KURKKU FIELDS にてお待ちしています。

山名隆也RYUYA YAMANA

1999年鳥取県出身。奈良大学卒業。大学では仏教美術について研究していたが、本好きが高じて書店に就職。その後、perusシェフである兄から誘いがあり2023年4月 KURKKU FIELDS に入社。本を通した人間成長、知識の伝承・探究というものに価値を見出している。

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