その色はどこからきたの?
UPDATE 2026.06.29
こんにちは!循環・環境チームの近藤です。
少し季節は遡りますが、4月25日と26日の2日間、千葉県大多喜町にある「mitosaya薬草園蒸留所」のオープンデイに出店し、クレヨンづくりのワークショップを行いました。手入れされた豊かな植物に囲まれた野草園はどこか懐かしく、自然と人の営みが溶け合うような空間で、とても穏やかで印象深い時間を過ごすことができました。
今回は、そのイベントの報告を交えながら、循環・環境チームとして私が普段どんな思いでワークショップを行っているのか、少しお話させてください。

イベント当日にも参加者の方から「クレヨンって作れるんですね」と驚きの声をいただきましたが、実は、みなさんが普段使っているクレヨンは自然のものだけで作ることができます。
この日は、mitosayaのレンガやヒノキ、KURKKU FIELDSのミントや剪定した枝や葉、みかんの皮といった素材を用意しました。
それらを顔料にしたものを自由にブレンドすることで、世界にひとつだけのクレヨンが生まれます。自然の色や香りをそのまま閉じ込めた、素朴で味わいのあるやさしい色合いのクレヨンに仕上がりました。
私がワークショップに参加する皆さんに注目してもらいたいのが、この色についてです。
完成したクレヨンを楽しむだけでなく、その色がどこから来たのかにも少し思いを巡らせてもらえたら嬉しいなと思っています。


私は昔から絵を描くことが好きで、美大では日本画を学んでいました。絵を描くために紙や絵の具を購入していましたが、あるとき「なぜ自分は絵を描くのか」という問いをたどったとき、「自分が使っている素材そのものを理解して描きたい」という気持ちが生まれました。それから和紙を自分で作ってみたり、鉱石を掘りに行って顔料そのものを作ってみたりしました。
そうしているうちに、「そこでしか描けない絵」を描きたいのだと気づきました。
目を凝らせば、私たちの周りはすでにたくさんの色であふれています。その土地の土や植物、農作物。そしてそこに宿る、人々の営みや歴史。そうしたものを素材として絵に取り込むことで、その場所だからこそ生まれる作品になるのではないかと思っています。
私にとって、それは少しおまじないのような感覚でもあります。
誰が育てた植物なのか。誰が手入れをしてきたのか。どんな土地で生まれたものなのか。
普段は見えないそうした背景を受け取りながら色をつくり、絵の中に込めていくことに惹かれています。
実は、色になる素材は身の周りの何でもやろうと思えばできるんです。 最近では、欠けたコンクリートを砕いて顔料にしてみました。細かく磨り潰していくと、目に見える灰色よりもずっと淡くて美しい、不思議な灰色が生まれました。一般的にはただの灰色ですが、私の中ではどこまでもコンクリート色です。
物質がそこにあるまでの物語も一緒に、色として生まれ変わる。そうやって世界を見ると、身の周りの景色がとっても楽しく見えてきませんか?

今回のワークショップも、誰かの手によって大切に育てられてきた背景や記憶がクレヨンの中に息づいていることを、肌で感じる時間となりました。
自然からすべてが生み出されているからこそ、私たちはそれを少し借りて、共生しながらものづくりをさせてもらっていることを実感します。
ワークショップでは、蜜蝋と自然の顔料だけでクレヨンを作りますが、作り方や素材の説明をする中で、石油ワックスで作られた市販のクレヨンとの違いに興味を持ってくれる方がたくさんいます。
もちろん、自然素材のクレヨンが良くて、市販のクレヨンが悪いという話ではありません。
私にとって豊かさとは「自分で何かを納得して選び取れること」です。
大切なのは、違いを知った上で、自分は何を選ぶのかを考えることではないかと思っています。
そして、体験したその日だけではなく、数年後にふとクレヨンを見返したとき、「そういえばこれって自分で作れたんだな」、「あの素材はあの場所の植物だったな」、「もしかしたら身の周りの土や植物でも作れるかも」と、背景にある人や自然とのつながりに少し目を向けるきっかけになったら。
すぐに何かが変わらなくても、その人の暮らしがちょっとずつ、自分の手で選び取る豊かさで満たされていくように。
今回はクレヨンづくりでしたが、料理や家具づくりなど、形は違っても「つくること」は日々の営みと地続きにあるものだと思います。
ものづくりは、私たちの暮らしや自然の豊かさと深く結びついている——
そんな実感を得られる体験になったと思います。

KURKKU FIELDSでは、毎週土曜日・日曜日を中心に、皆さんの暮らしや自然とのつながりを感じられるさまざまな体験を用意しています。ぜひ、気軽に遊びにきてくださいね。
ご参加いただいた皆さま、本当にありがとうございました!

2000年、群馬県前橋市生まれ。
大学で美術を学ぶ中で、ものづくりは人の暮らしに寄り添うところから生まれるのだと実感する。その想いを、自らの制作だけでなく、人に伝える活動へとつなげたいと考え入社。
現在は体験コンテンツの企画や植栽管理に携わり、日々現場に向き合いながら、人と自然が心地よく交わる場づくりを模索している。
最近の目標は、草刈りを極めること。