KURKKUFIELDS クルックフィールズ

ONLINE SHOP

千葉県木更津市

アクセス
SUSTAINABILITY
ある日の KURKKU FIELDS
命がめぐる水辺で起きていること

命がめぐる水辺で起きていること

UPDATE 2026.04.30

今年の1月に循環・環境チームに入社した、生き物が大好きな山﨑新太くん(以下:アラティー)と場内を歩いていると、どこからか「ビーン」と特徴的な鳥のさえずりが聞こえました。

隣にいたアラティーはすぐに、近くの木でカワラヒワが鳴いていると気がつきました。

「意識していなくても、目や耳が鳥を追いかけて、声を聞こうとしているんだと思います」と彼は言います。

そんな生き物に寄りそった視点で場内にあるビオトープを見てみると、水の中にもまた、これまで気がつかなかった世界が広がっていました。

小さな池の中で、生き物たちは食べ、食べられ、増え、消えながら関係を結んでいます。

そしてその背後では、私たちの暮らしから流れ出た水がバイオジオフィルターという別のかたちで命を支えており、ここでは、水と生き物が循環する仕組みがあるといいます。

みなさんはビオトープを知っていますか?

ビオトープとは、人の手でつくられた小さな自然環境のことです。
ビオトープは「生きものの暮らす場所」を意味する言葉で、ドイツ語のBIO(生物)とTOP(場所)から生まれました。池や川、森、草地、田んぼなど、生きものが生息・生育する空間はすべてビオトープです。人がつくる小さな水辺もそのひとつで、多様な命がつながり、育まれる大切な場所となっています。

ここ、KURKKU FIELDSにも人の手で再現された小さなビオトープがあります。
放っておけばよい自然というわけではなく、KURKKU FIELDSのビオトープでは週に一度、藻の清掃が行われています。

藻が増えすぎると、水の中の光や酸素のバランスが崩れ、他の生き物の生育に影響を与えてしまうため、適度に手を入れ環境を整えることが必要になります。

自然のままに見える場所も、実は人の手によって整備されることで水と生き物の循環が保たれているのです。

現在アラティーは、循環・環境チームとして場内の環境整備や体験コンテンツの担当のほか、ビオトープの管理や生き物調査に関わる仕事を担当しています。

今回は、ちょうどビオトープの清掃をするというアラティーにビオトープの生き物について聞きました。

ビオトープでは水を張ると、まずカエルが卵を産みにやってきます。

するとその卵や水面に落ちた小さな生き物に引き寄せられてアメンボがやってきて、孵化したオタマジャクシを求めてヤゴやゲンゴロウなどの水生昆虫が集まってきます。

多くの卵が孵ってもその多くは別の生き物に食べられてしまい、すべてがカエルになれるわけではないそうです。

こうして、水の中には「食べる・食べられる」という関係が生まれ、多くの命が次の命を支えています。

水があるというだけで生き物たちの食物連鎖の関係が立ち上がり、小さな生態系が形づくられていくことがわかりました。

アラティーが網を水際の草の根元に差し入れ、そっと持ち上げると、藻の中にいくつかの小さな影が揺れました。その中に、ひときわ目を引くものがいます。

コオイムシです。

一見すると、やや平たい水生昆虫ですが、よく見ると背中にびっしりと粒のようなものが並んでいます。

コオイムシは環境省のレッドデータブックにおいて準絶滅危惧(NT)に該当しているそうです

これらはすべて卵です。コオイムシは、メスがオスの背中に卵を産みつけ、孵化するまでオスが背負い続けます。その習性が名前の由来にもなっています。

ビオトープの生き物の観察体験でも、このコオイムシはよく話題になるそう。

見た目のインパクトと、子育てという意外な習性。そのギャップに、参加者から思わず声が上がるそうです。

色んな生き物が観察できるビオトープにはバイオジオフィルターが組み込まれています。

バイオジオフィルターとは、暮らしの中で出る排水を自然の力でさらにきれいにする仕組みです。レンガや瓦を砕いたチップに棲む微生物が有機物を分解し、その栄養を植物が吸収することで水を浄化します。きれいになった水は小川や池へ流れ、生き物の住処となり、多様な命を育みます。

KURKKU FIELDSは公共の下水とつながっておらず、場内のトイレや飲食店などからの生活排水は、一度地下の浄化槽を通りバイオジオフィルターへと流れ込むようになっています。
こうして浄化された水がビオトープに流れ込むのです。

排水は私たちにとっては汚いものかもしれませんが、生き物たちにとっては栄養たっぷりのご馳走。バイオジオフィルターを通過することで、ただ捨てられるものではなく、再び生き物を育てる水へと変わっていきます。
お客さま含め、KURKKU FIELDSでの私たちの暮らしそのものが、この循環の一部となっているのです。

水の状態は生き物から知ることもできます。

たとえば、カワニナという巻貝は、きれいな水に生息する生き物です。
そしてホタルの幼虫は、このカワニナを食べて成長します。

つまり、カワニナがいるということはホタルがやってくる環境が整っているということでもあります。

また、ヌマエビは農薬などの化学物質に敏感な生き物です。そんなヌマエビが卵を抱えている様子からは、水辺の環境が保たれていることがうかがえます。

水質は数値だけで測れるものではありません。
そこにいる生き物たちが、その状態を教えてくれています。

ちなみに、アラティーいわく、生き物を見つけるには少しコツがあるといいます。

それは、池の真ん中ではなく水際の草の根元に目を向けること。
普段は目立ちにくい場所ですが、そこに網を差し入れると、多くの生き物が身を潜めているのだそうです。

実際に網を入れてみると、一匹のヤゴが入りました。ヤゴには獲物を捕まえるための、長く伸びるあごがあるといいます。
そっと捕まえて、顔の下に折り畳まれたあごを伸ばしてみる。その驚くような仕組みと長さに、思わず目を奪われます。
何もない草むらだと思っていた場所で、実は「食べる・食べられる」という命のやりとりが行われている。

見方が変わるだけで、同じ場所がまったく違って見えてきます。

アラティーは、幼い頃から生き物に強い興味を持っていたそうです。
虫を見つけると夢中になり、捕食の様子を何時間もじっと眺めたり、卵を産むところから大人になるまで色々な生き物を育てて観察したり……。
そうやって命のサイクルを身近に見てきた経験が、今の彼の観察眼につながっています。

都会で育った彼にとって、この場所の多様な環境は驚きの連続で、KURKKU FIELDSは暮らしと自然が密接につながっている場所だと感じているそうです。

最近では鳥に興味を持ち、KURKKU FIELDS内でバードウォッチングを始めるうちに30種類もの鳥を観測し、覚えたそう。
「好きなことだけは覚えられるんです」と、少し照れながら話します。

また、最近、田んぼに囲まれた古家で暮らしはじめたそうです。
そこで小さなビオトープをつくり、コンポストにも取り組んでおり、仕事で行っていることを暮らしの中でも実践しているといいます。

自然の中で起きている分解や循環の仕組みは、特別なものではありません。
私たち人間も、その流れの中に含まれています。

生産者、分解者、消費者といった関係の中に、人もまた含まれている。
人の手が入っている場所でありながら、これほど多様な生き物が共に生きていることを実感できる点に、この場所の魅力があるといいます。

そして、「この場所のもうひとつの魅力は、四季の変化です」とも教えてくれました。

同じ場所でも、季節が変わると生き物の種類や様子が大きく変わり、まるでまったく別の場所のように見えることもあります。

冬の静けさから、春に向かって一斉に芽吹く変化。
そうした移ろいを、同じ場所で目の前で感じられることが好きだとアラティーは話します。

KURKKU FIELDSのビオトープやバイオジオフィルターでは水、生き物が巡ります。
そして、その中に人間も含まれています。

ここはただの設備ではなく、さまざまな存在が関わり合う「循環」の場です。

循環は机上の仕組みとしてではなく、納得感を持って実感できるものとして存在していることをアラティーから教わりました。

編集部EDITORS

KURKKU FIELDS MAGAZINE 編集部
KURKKU FIELDS に関するニュースをお伝えしていきます。

関連する記事

RECENT CONTENTS