架に配する
UPDATE 2025.8.31
みなさんこんにちは。地中図書館・館長の山名です。
以前、インスタグラムでお知らせをさせていただいたのですが、今年の地中図書館は5月からほぼ毎月、5〜10冊のペースで本が増えています。
これまでに幾度と足をお運びくださっている方でも、毎回違った発見ができるようになっていますので、どこにどんな本が増えているのか注意深く見ていただけるとうれしいです。

さて、ということで今回のものがりですが、テーマは「新しく追加された本」ではなくて
「配架(本を並べること)」です。
新しい本を配架する時に、私たちスタッフや選書家の川上さんが意識していることを、実際の例をあげながら簡単にお伝えしたいと思います。
まず基本情報として、2025年5月の時点で館内には3400冊を超える本が配架されています。そこから毎月5〜10冊増えていくので、2026年には約3450〜3500冊の蔵書数になる予定です。2023年のオープン当初は約3000冊の蔵書だったので、大分増えたなという印象ですね。


ここで多くの方の疑問に上がるのが
「地中図書館には一体何冊の本が配架できるの?」
ということでしょうか。
実際にやってみないとわからないところもあるのですが、設計の段階では約8000冊〜10000冊。現在の蔵書数の2倍以上で、1年で100冊増えると仮定しても、本を並べられる棚がなくなるまで50年前後かかる計算です。
しかし、ここで注意しないといけないのは「8000冊を並べるためには人の手の届かないところにも並べる必要がある」ということです。わかりやすく言うと、読み聞かせホールの本棚上段ですね。

この棚の本を手に取るには、専用の大きな脚立を用いる必要があるので、お客様が自由に本を出し入れするには向きません。
なので現在は、上段はいわゆる“見せ棚”にして、気になった本は下段や中庭側の本棚からとれるようになっています。


この見せ棚を作ったのが2023年の9月のことで、当時新しい本を追加するのに合わせてホール内の大配置換えを行いました。
読み聞かせホールという名前の通り絵本が目立つ空間を意識して、タイトルや表紙が特徴的な作品を中心に、それぞれが引き立つよう色合いなども注意して配架しています。

次に “面置きと背表紙置き” について。
地中図書館は本棚一段分のスペースに、同じジャンル・テーマに関連する本が並んでいます。
基本的には表紙が見えるように置かれた1冊と、背表紙が見えるように置かれたその他の本で構成されていて、表紙が見えるように置くのを “面置き” 、背表紙が見えるように置くのを “背表紙置き” と呼んでいます。

一段にたくさん並べようとしたら、面置きはスペースの無駄遣いになってしまうのですが、地中図書館ではあえてそのように並べています。
理由としてはやはり見た目のわかりやすさ。
「さまよう」というコンセプトの地中図書館では、探す楽しみを味わっていただくため、本棚にジャンルがわかる名札や番号は設けていません。しかし、なんのヒントもなしに探すのは大変なので、その棚にどんなテーマの本が並んでいるのかわかるよう、代表的な本を面置きしているのです。

新しく追加した本がいきなり面置き(その棚の顔)になることもあります。

最後に隣り合う本・同じ棚に並べられた本の関係性。
これにはいろいろなものがあり、内容やテーマが似ていることや、作者同士の関係性(師弟・友人など)、文学作品とその元ネタなんてのもあります。


もし興味のある方がいれば自分の目で確かめていただきたいので、ここでは多くを語らずにおきます。
詳しく説明すればもっとあるのですが、基本的には今回お話ししたことを意識しながら地中図書館の本は配架されています。
なので例え新しい本が追加されたとしても、その本だけを探すというのはあまりおすすめできません。
「この本、前からあったかな?」
と思った時に、それが新しい本であれ前からあった本であれ、自分で気づいた(出会った)本には変わりないわけですから、その出会いを大切にしていただけると幸いです。

1999年鳥取県出身。奈良大学卒業。大学では仏教美術について研究していたが、本好きが高じて書店に就職。その後、perusシェフである兄から誘いがあり2023年4月にKURKKU FIELDS へ入社。本を通した人間成長、知識の伝承・探究というものに価値を見出している。