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啓蟄(けいちつ)の雪に思うこと

啓蟄(けいちつ)の雪に思うこと

#エッセイ #SDG's#木更津

UPDATE 2024.03.31

 

今年の冬は暖かかった。とにかく暖かかった。

日本各地のスキー場で雪不足が問題となったり、関東では2月中旬に夏日(25℃以上)が観測されたり、気象庁は「異常な暖冬だった」と振り返っている。

長年、野生生物を観察してきた自分にとって、この不安定な冬が生き物たちに与える影響を懸念してしまう。

例えば春に美しい花を咲かせる桜は、気温が下がる秋のうちに休眠し、冬の寒さにあたることで目覚め(休眠打破という)、春に花を咲かせる。

冬のうちに十分な寒さを経験しないと休眠打破ができないので、冬が暖かいと翌春の開花が中途半端なものになってしまう。

他にも、冬眠から目覚めることで繁殖期のスイッチが入る動物など、冬の寒さを経験することが生きていく過程で必要だと DNA に刻まれている生物種は多い。

暖かい日は好きだけど、おでんを食べたり、スキーをしたり、春の桜を想像したり。

そんなひと時を想像すると、とても豊かで、冬の寒さも恋しいと思う。

このまま春が来るかと思いきや、2024年3月8日の朝。

木更津では季節外れの雪が降った。

暦の上では「啓蟄(けいちつ)」の候。冬ごもりをしていた生き物たちが目覚める季節。

しかし、外は一面雪景色。生き物たちが目を覚ますには寒すぎる。

結局3月は平年より寒い日が続き、春の気配は遠のいてしまった。

この先、気候変動が進むと、どんな未来が待っているのだろうか。

一方で、未来のために今を生きる私たちが何かを我慢したり、苦しんだりする必要はない。

今の暮らしを楽しみながら、豊かな未来を創造する力が私たちにはあるのだから。

生命や自然環境に誠実に向き合いながら、これからもその想いを伝えていきたい。

吉田和哉KAZUYA YOSHIDA

1993年千葉県生まれ。大学院で野生生物(対象はアライグマ)の研究をしたのち、ベンチャー企業やリクルートでの営業経験を経て2020年10月に KURKKU FIELDS に入社。「自然の魅力や価値を伝える」ことを人生のミッションとし、KURKKU FIELDSでは循環の仕組みづくりや自然環境保全、果樹づくりを行いながら、来場者向けの体験企画を担当している。

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