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読書の難易度

読書の難易度

#コラム #地中図書館

UPDATE 2024.08.31


みなさんこんにちは。
地中図書館の山名隆也です。

まだまだ暑い日が続いていますが、暦の上では9月となり秋へと変わっていきます。

実りの秋や食の秋、運動の秋など多くのキャッチコピーのある秋ですが、地中図書館館長としては、やはり「読書の秋」を勧めたいところです。

もちろん読書というものに対して苦手意識を持っている方が多いのも理解しています。しかし私は、そういったお悩みのある方は、自分で【読書の難易度】を高く設定してしまっているのだと思います。

例えば「読書はしないけど漫画は読みます」と遠慮がちに話す方がおられますが、個人的にはそれも立派な読書であると思うのです。

漫画はコマ割りや吹き出しなどの特別な表現方法を用いていますが、そこに書かれた言葉と絵から物語を読み取るということは、他の文庫本や絵本を読むことと変わりありません。

『ルックバック』(藤本タツキ/集英社)
『夕凪の街 桜の国』(こうの史代 / 双葉社)

他には「学校の授業で読んだけどよくわからなかった」と言われる方もいます。学生の時の経験が「読書は難しい」という気持ちに繋がり、読書に対してなんとなく苦手なイメージを抱いてしまうそうです。これについてはおっしゃる通りだと思います。お恥ずかしながら私も、『山月記』や『檸檬』をはじめて読んだ時は、大変苦労して授業を受けた記憶があります。

『李陵・山月記』(中島敦 / 新潮社)

『梶井基次郎 全集第一巻』(梶井基次郎 / 筑摩書房)

ですが、そんな作品も大人になってからもう一度読むと、全く違った印象を抱くのが読書のおもしろい点。

それもそのはずで、大人になる頃には学生当時よりも身につけた知識は多く、積んできた経験も違います。だからこそ難しく感じた言葉がスッと入ってきたり、主人公に対してより感情移入しやすくなったりするのです。

以前、「ジュール・ヴェルヌの作品は子どもと大人で感じ方が違う」という話を聞いたことがあるのですが、物語であればどれも同じことが言えるのではないかと思います。

『二年間の休暇』(ジュール・ヴェルヌ / 朝倉剛 訳 / 福音館書店)

これまでいくつか例をあげてみましたが、単純に本の内容が難しいこともあります。興味があって手にとってはみたものの、内容がわからず読むのをやめてしまったという経験は読書好きの方でもあるはずです。論文などが良い例ですが、学術的な内容の本はどうしても難易度が高くなってしまう傾向にあります。

『グローバル・グリーン・ニューディール:2028年までに化石燃料文明は崩壊、大胆な経済プランが地球上の生命を救う』(ジェレミー・リフキン / 幾島幸子 訳 / NHK出版)

そんな時は「読むのを諦める」のではなく、同じジャンルのわかりやすい本を探してみるのがおすすめです。

書店や図書館に並んでいないだけで、世の中には膨大な冊数の本があることはご存知でしょうか。現在は電子媒体などでも気軽に読むことが可能なので、一昔前と比べると自分にあった本を見つけやすい時代になりました。

題名に「初心者」や「入門」とついた読みやすい本はすぐに見つかると思うので、それらの本から興味の扉を広げてみてください。

『図解でわかる14歳からの脱炭素社会』(インフォビジュアル研究所 / 太田出版)

最後になりますが、読書をする際は自分のペースで楽しんでいただければと思います。冒頭で読書の秋とは言っていますが、自分が読みたいと思った時に読むのが一番です。

みなさんも良い読書ライフをお過ごしください。

『読書について』(アルトゥール・ショーペンハウアー / 鈴木芳子 訳 / 光文社)

※ 今回紹介した本は配架場所を一時的に変更して撮影しています。

山名隆也RYUYA YAMANA

1999年鳥取県出身。奈良大学卒業。大学では仏教美術について研究していたが、本好きが高じて書店に就職。その後、perusシェフである兄から誘いがあり2023年4月 KURKKU FIELDS に入社。本を通した人間成長、知識の伝承・探究というものに価値を見出している。

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