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農夫の書庫

農夫の書庫

#エッセイ #中村拓志#地中図書館

UPDATE 2025.1.31

みなさんこんにちは。地中図書館 館長の山名です。

2023年の2月にオープンした地中図書館も、まもなく3年目に突入します。私としても、この図書館をより良い場所とするために、新たな挑戦や取り組みが必要だと考えています。

その一環として、今回は初心を見直す気持ちで地中図書館についてご紹介したいと思います。これまでにも何度か紹介したことはありますが、ここでは本ではなく、建物に込められた想いなどを紹介していきます。

地中図書館は建築家の中村拓志さんによって建築されました。

晴耕雨読の言葉のように、KURKKU FIELDS という農場で働く人たちが、書物から知識を得たり自分を見つめ直したりする場所、というイメージが形になったものです。お客様には『農夫の書庫』という言葉で説明することもあります。

さらに具体的な指標として『建築残土で埋め立てられた土地を緑豊かな場所に戻すこと』、『土地を占有するのではなく、植物と微生物たちの繁栄の下で慎ましく存在する建物であること』の2つがあり、それを基に今の地中図書館ができあがりました。

建設前の図書館周辺の様子

建物内部は地中ということもあり洞窟のような雰囲気。壁は左官で、KURKKU FIELDS の土に合った色で仕上げられています。

天井が段々と低くなる構造も特徴的ですが、建物のある場所が元々谷底へ向かう斜面であったため、その姿を再現するべくマザーポンドへ向かって低くなっているのです。入口の小径もかつて流れていた小川をオマージュしたもので、この辺りの地形的な特徴は、実際にご覧になっていただければと思います。

壁一面の本棚も、低くなる天井に合わせて高さが調整されているので、地層のように続きます。本棚という地層の中に、知識の集積物である本が並ぶ姿は、見ているだけでも顔がほころびます(本の虫のような人だけかもしれませんが⋯)。

最深部はホール上になっていて『未来のために育む場』というイメージのもと設計された箇所です。土の中というのは、植物が養分を得るために根を張ったり、種が芽を出すための準備をしたりする場所でもあるのですが、このホールはその形から母胎という意味も持っています。

植物が力をつける地中、そして新しい命が育まれる母胎。

そんな2つの力があるためか、この空間にいると、思考が鮮明になっていく感覚を抱きます。

28本それぞれが支え合って成立するレシプロカル構造の梁も、その姿で人の成長に必要なことを教えてくれているようです。

最後に天窓のご紹介です。地中図書館には太陽の光が降り注ぐ場所がいくつかあります。これは土の中にあっても、太陽の力を身近に感じられるようにという工夫で、空を見上げることで地中と地上の繋がりを感じることができます。

先に述べた『地上』という言葉は、日常生活や社会的な役割なども示しています。

せっかく蓄えた知識や思いついた考えも、アウトプットする場所があってこそですから、この場所で読んだ本や体験から得た学び、何かひとつでも持って帰れるものが見つかれば幸いです。そんな学びの拠点として、これからも地中図書館をご活用ください。

山名隆也RYUYA YAMANA

1999年鳥取県出身。奈良大学卒業。大学では仏教美術について研究していたが、本好きが高じて書店に就職。その後、perusシェフである兄から誘いがあり2023年4月 KURKKU FIELDS に入社。本を通した人間成長、知識の伝承・探究というものに価値を見出している。

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