REPORT「あなたがつくりたい料理」と出会う〜房総の大地と生産者に学ぶ〜
UPDATE 2025.7.31
みなさん、こんにちは。『食を届けたい人のためのフィールドワーク in KURKKU FIELDS』で、『あなたがつくりたい料理』と出会う 〜房総の大地と生産者に学ぶ〜の企画を担当した中村です。
今回のイベントは perus 山名シェフとの会話から生まれました。
「食材はレストランに届くものと思っていたが、KURKKU FIELDS で働きはじめて食材の見え方が変わった」
そう語った山名シェフ。日々、畑のそばで料理し、ときに自らが野菜を収穫する中、土地の恵みをお客様に届けることが「料理」だと感じるようになったと。そして、料理人になる過程で食の生産現場を知ったり、生産者に出会ったりする機会がなかったから、ぜひ「料理を届ける人」に一次産業の現場である KURKKU FIELDS に見に来てほしいと熱い想いを話してくれました。
イベント当日は七夕。平日にも関わらず、集まったのは20数名。料理人や飲食店で働く方、畑やハーブに関心のある人、また家庭で子どもに食について伝えたい方など。
気温が30度を超える中、山名シェフと佐藤剛さんをガイド役にまずはシャルキュトリーの岡田シェフに会いに行きました。
そこで話していただいたのは、畑を荒らす猪や鹿などの野生動物の現状や、それらを処理する現場についての解説。フランスで6年ほど修行した経験も踏まえながら、ジビエを美味しいものとして広めたいとの想いも語っていただきました。
「鍵となるのは適切な解体処理・保存・加工されたお肉であること。人間の営みと自然のサイクルの中で獣害が発生するが、その命を次の世代に“エネルギー”として伝えていきたい」参加者からは解体したお肉の保冷温度や止め差しについてなど、少し専門的な質問も投げかけられ、みなさんの真剣な眼差しを感じました。

次にお伺いしたのは養鶏の松村さん。
鶏が食べているものと卵の味や色の関係を紹介しつつ、エサやり体験! 鶏の運動場に草や野菜を投げ込むと鶏たちが一斉に駆けてきます。
さらには鶏舎の中に入り鶏を間近で観察。参加者の質問に答えながら、現代の一般的な鶏は品種改良により産んだ卵を抱く習性がなくなっていること、役目を終えた鶏がどうなるのかなど、養鶏業の裏側も少しお話ししていただきました。


そして、畑へ。ミニトマトやオクラをその場で味見。炎天下での喉の渇きを潤してくれます。ここでは参加者のみなさんに、ランチで用いるミントを収穫していただきました。

その後、牛舎に向かいチーズ職人の竹島さんより、大きな大きな水牛たちの目の前でお話しを伺いました。水牛の特徴やチーズの食べ方まで軽快なトークが繰り広げられました。

そしてお待ち兼ねのランチタイム!
暑い中広い農場を歩いた後は、先ほど収穫したミントをたっぷり使った「ミントと発酵レモンの農場ノンアルモヒート」が染み渡ります。
宮城シェフによるランチはワンプレートに KURKKU FIELDS がぎっしり詰まっていました。
鹿や猪のテリーヌ、夏野菜各種にヒマワリの花をアーティチョークのように調理したもの、水牛モッツァレッラ、ベーカリー「Lanka」のパン。そして、卵かけご飯も。


ランチの後は「苗目」の井上隆太郎さんをゲストにお迎えしてのトークセッション。井上さんは園芸の仕事を経て、パーティー会場などのディスプレイの仕事をされる中、飾られる大量の花や植物が1日限りで廃棄される現実を目の当たりにします。そこから、農家に転身し、多種多様なハーブや食べられる花の栽培等をされています。
またシェアファームや子どもたちのための公園づくりなど、耕作放棄地を無くしたいという想いから、農地をさまざまな形で活用し、トップシェフなどさまざまな人たちを巻き込んで活動されています。
そして、その取り組みをオープンにしてたくさんの人に見てもらい、地元で農業や山を守る活動などやってみようと思う人がひとりでも増えてほしいと語りました。

苗目のエディブルフラワーやハーブは世界的に有名なシェフからの信頼も厚く、ハイエンドのレストランなどに提供されることが多くありますが、井上さんはもう少し敷居の低いお店でもハーブなどを活用してほしいとも語ります。
一方、KURKKU FIELDS の農家・伊藤さんは、大手スーパーのオーガニック野菜コーナーに並ぶ規模で有機野菜を生産・供給しています。同じ農家でもそのスタイルやアプローチはさまざま。しかし、耕作放棄地を減らし、大地の豊かな恵みを届けたいという想いは共通するものを感じます。
最後に井上さんは
「ハーブ単体ではおいしいものにはならないが、料理人がおいしい料理にしてくれる」
と語りました。
改めて、料理が食卓に届くことは生産者と料理人、そしてその間に入る全ての人々の共同作業であり、つながりがあってこそなのだと実感します。生産者の情熱、自然の恵みを料理を通して伝えていくことが料理人をはじめ「食を届ける人」なのだと思えるフィールドワークになりました。

暑い中、ご参加くださったみなさまありがとうございました!
Special Thanks To 苗目・井上隆太郎さん!

大阪市出身。関西学院大学総合政策学部卒業、イタリア食科学大学大学院修了。10年ほど大学職員として学生の海外派遣や留学生のサポートを行う。その中で異文化理解やソーシャルインクルージョンに食が深く関わっていると感じ、スローフード運動発祥の地へ留学。季節のものをシンプルにいただくイタリアの暮らしを気に入り、KURKKU FILEDSにイタリア文化に通じるものを感じ、2023年に入社。