卵を頂き、お肉を頂く
UPDATE 2024.07.31
卵を産む鶏。
やがて産卵率が落ちてくる鶏。
そして、鶏肉になる鶏。
業界用語で「廃鶏」と呼ばれる日。
2024年7月11日木曜日
227羽(841日齢)
インフォメーション、宿泊施設、マーケット、飲食部門、農業部、酪農部、総勢11人のスタッフで廃鶏作業を行いました。
作業内容
① 鶏を捕まえる
② カゴに入れる
③ 荷台に載せる
その日、現場で感じることは、鶏を捕まえた時の体温の温もりと鶏舎に響き渡る鳴き叫ぶ声。
私は、「廃鶏」という作業は家畜業(家禽業)という仕事が凝縮していると思っています。普段何気なく目にしたり、当たり前のように口にする卵や鶏肉の背景には「廃鶏」という作業が存在します。
人が食べるための卵を産む鶏は親鶏と呼ばれますが、現代養鶏で “親” となる鶏はほぼいないと思っています。
孵化事業を主とする鶏舎にいる『種鶏』と呼ばれる鶏は親鶏だと思います。なぜなら、卵を産むだけでなく、その卵からヒナが孵るからです。
しかし人が食べるための卵はそうではありません。
私は、食べるための卵を産む鶏を、例えそれが有精卵だとしても、“親” 鶏と呼ぶことに違和感を感じてしまいます。だから私は採卵鶏と呼びます。
毎日のように卵を頂き、最後はお肉として頂く。
ひと昔前のような、鶏という生き物との共生。
その一側面のニュアンスを含んだお肉を、採卵鶏肉として発信していきたい。
数に限りはありますが、クルックフィールズ場内でも採卵鶏肉を使ったメニューがはじまる予定です。是非、採卵鶏肉の味わい深さをご堪能ください。
桜の花びらが散るように
“鶏も散る”
散った生命は何かの生命となる
私たちの食となる生き物の儚さ
若鶏と呼ばれる鶏肉 僅か7週間
地鶏と呼ばれる鶏肉 約半年
採卵鶏と呼ばれる鶏たちは卵を産み続けて
およそ2年で鶏肉となる
肉用鶏に『Happy Birthday』は訪れない
採卵鶏でも一度 多くても二度
人と鶏
延ばす命と縮める命
散った跡だけ残る鶏舎の中で。
養鶏担当 松村洸大
1994年生まれ。東京都府中市出身。20歳の時に旅したインドで鶏に関心を持ち、大学卒業後、北海道生活に浸りながら養鶏業に携わる。都内の実家で10ヶ月間、鶏(雄雌)との共同生活を経て、2022年2月に株式会社耕すに入社。現在も鶏に取り憑かれながら、循環をテーマにした美味しい卵をお客様にお届けできるよう、日々研究中。