「生きる力を養う学校」開催レポート / 第3回『土と暮らす』
UPDATE 2025.2.28
みなさんこんにちは。「生きる力を養う学校」の事務局を担当している中村です。「生きる力を養う学校」は日々の暮らしの中で新たな視点を持ち、生きていくための知恵を学べる場を目指しています。
2024年は「土」をテーマとして全3回に渡って開催されました。今回の記事では、12月8日(日)に開催された最終回『土と暮らす』のレポートをお届けします!
この日は山梨県からパーマカルチャーデザイナーの四井真治さんを講師にお招きしました。四井さんは現在山梨県北杜市を拠点に持続可能な暮らしを実践しながら、愛知万博「愛・地球博」(2005年)のオーガニックレストランに併設されたパーマカルチャーガーデンをはじめ、さまざまな施設でパーマカルチャーデザインを担当されています。KURKKU FIELDS の循環の仕組みも監修してくださいました。
この日はまず講義からスタート。四井さんが過去に手がけた事例の写真や図、絵を用いながら熱のこもったトークが展開されました。
「土や森ができる仕組み」や「土をつくることは、他の生き物を増やす生き方であり、持続可能な暮らしとは、人間がいることで土ができる暮らしである」、「私たち人間は、土を作る生き物になっていかないといけない」ということを学びました。そして「命とは何か」という問いに対して、これまでの四井さんが自然と向き合う中で見出してきた原理を語ってくださいました。

しっかり講義を受けた後は、身体をつかったワークショップ。今回は堆肥枠をつくります!大きなワイヤーメッシュを身体をめいっぱい使って筒状にしていきます。馴染みのない動きでしたが、参加者のみなさんも笑顔で共同作業を楽しまれていました。
筒状にしたらワイヤーメッシュの端と端をつなぐためにバネ状にしたワイヤーを絡めていきます。これは植物の蔓から着想を得たもので、ここにも四井さんの自然をお手本にしたデザインが生かされています。

このワイヤーの枠内に落ち葉などを集めて入れておくと、それが堆肥に変化していきます。堆肥枠をつくった後は実際に KURKKU FIELDS で活用されているものを見に行き、四井さんから使い方をじっくり教えていただきました。講義で教わった “命の仕組み” が正に体現されていることがわかります。

そしてランチタイムです。この日は perus の山名シェフによる手打ちパスタ。それに土の中で調理した野菜と猪の炭火焼き。お料理に合わせてドリンク担当の小高さんより2種類の飲み物が提供されました。ひとつは桜の葉が大好きなモンクロシャチホコ(毛虫)の糞をつかったオリジナルティー。糞を使うとは驚きですが、桜餅のようなやわらかな香りのお茶に仕上がっています。もう1つは麦・米・マコモダケと全て稲科の植物の端材でつくったアップサイクルドリンクでした。


昼食の後は参加者のみなさんと振り返りの時間。
私には「子どもたちに人間は環境をよくしていける存在だと伝えてほしい」という四井さんの言葉が印象的でした。その想いは KURKKU FIELDS の循環の仕組みに反映されていると感じます。ミミズコンポストや堆肥枠、バイオジオフィルターなどを通して、この場所で人間の営みがあるからこそ、水も生ごみも循環し、有機物を食べる微生物や植物が生きられる。それがまた、土や森をつくり命が育まれる。四井さんの「みなさんの暮らしに命を宿らせてください」という言葉が KURKKU FIELDS で体現されていると改めて実感する1日でした。
10月から3回にわたって開催した2024年度の「生きる力を養う学校」。
テーマを「土」として、さまざまな角度から土について学び、経験しました。野菜を育てるための土、器を作るための土、そして土を生み出す暮らし。土がなければ人間は生きられないと改めて感じさせられる一方、都会で生活すると土に触れることが圧倒的に少なくなります。現代人の暮らしの中で、どのように土と関わり、できれば土を生み出し、人間がいかに環境をよくしていけるか。参加者のみなさんと土というテーマを通して、「生きる力」の新たな視点について学び語り合う3回のワークショップになったように思います。

大阪市出身。関西学院大学総合政策学部卒業、イタリア食科学大学大学院修了。10年ほど大学職員として学生の海外派遣や留学生のサポートを行う。その中で異文化理解やソーシャルインクルージョンに食が深く関わっていると感じ、スローフード運動発祥の地へ留学。季節のものをシンプルにいただくイタリアの暮らしを気に入り、KURKKU FILEDSにイタリア文化に通じるものを感じ、2023年に入社。