イマフン 今村さんを訪ねて
UPDATE 2023.4.29
こんにちは。「Lanka(ランカ)」でパンを作っている米山紗弓です。今年の2月から、クルックフィールズストーリーの取材でお世話になっている生産者さんの元を訪ねています。
今回紹介するのは小麦農家『イマフン』の今村太一さんのお話です。
千葉県八街市でイタリア品種小麦の栽培をし、製粉まで自らおこなっている今村さん。初めて今村さんの小麦でパンを作ったとき、その香りや味の濃さに驚きました。食料品店で小麦粉として販売されているものは強力粉、中力粉、薄力粉など使う、用途に合わせたくくりであって家庭で使うときに香りや味を求める方はそういないと思います。
どうしてこんなに香るのか。
品種や栽培方法はもちろんですが、収穫したあとの挽き方にもこだわりがあるようです。日本の石臼(昔から蕎麦を挽いたりするのに使われている)を使い、人が手でズリズリと回しているような速さで、ゆっくり時間をかけて挽いていきます。
それは『摩擦熱』で小麦の風味が損なわれないようにするため。回転速度をゆっくり、小麦の粒の投入も一度にたくさんではなく『一粒一粒』のイメージです。そうして製粉された小麦はフワッと空気を含んで軽く、きな粉のような香りと甘みがあります。
今村さんの小麦を教えてくださったル・シュクレクールの岩永さんが粉の中に手を突っ込んで
「どう?ザワザワするでしょ?」と
話をしていたのがずっと印象に残っています。
「圧縮してパッケージングされた小麦粉を使っていると小麦が農作物ということを忘れてしまうよね。挽きたてのあの感じをそのまま届けたい。野菜やお米のようにすぐ食べられないから小麦はむずかしい。パンやパスタみたいに加工するしかないんだよ。この小麦をプラスにする人もいればマイナスにしてしまう人もいる。」
夕暮れ時の小麦畑、グッとくる言葉でした。
これからもたくさんのことを学びながら、精一杯パン作りに向き合おう。こうして作り手の想いを知るとわたしたちがパンに込める気持ちが何倍にも膨らみます。
イマフンさんの小麦はバゲットやカンパーニュに使っています。
プライスカードを見たお客さまに “イマフン” って何ですか?と聞かれることがうれしくて、興味を持ってもらえたらその魅力をわたしたちの言葉とパンで伝えられるよう、今日もランカでパンを作ってお待ちしています!
食べることと作ることが好きで、何でも形にして食べられるパン屋さんに憧れ、農業高校食品科学科卒業後、製菓専門学校へ。県内のパン屋に6年勤めるが、素材から作る楽しさを求めて2021年9月にKURKKU FIELDSに入社。